一般的に、うつ病の患者さんは強い自責の念を持つことが多く、 「自分がこうしていれば…」と必要以上に自分を責め、 仕事や人間関係で失敗した自分に納得ができず気分が沈んでしまいますが、 新型うつは他罰的で、自分が仕事や人間関係で失敗したのは他人のせいだと考えて気分が沈み、 一般的な、うつ病になりやすいとされている性格とは正反対の特徴が見られます。
また、新型うつは職場などストレスを感じる場所でのみ発症することが特徴で、 うつ病と診断されて会社を休職中でも、趣味などの活動は積極的にできていたりします。
症状 | 従来のうつ病 | 新型うつ病 |
いらだちの矛先 | 自分を責める | 他人を責める |
気分の浮き沈み | 常に沈んでいる | 浮き沈みが激しい |
辛い時間帯 | 午前中 | 夕方 |
休日の気分 | 平日も休日も無関係 | 元気になる |
悪化する場所 | 無関係 | 職場や学校のみ |
食事・睡眠 | 食欲不振・不眠 | 過食・過眠 |
従来型うつ病 | 自分を責める、自分に価値を感じない、焦燥・絶望・不安感、興味関心がなくなる、気力減退、自殺願望、後悔の念、睡眠障害、食欲不振、体重減少など |
新型うつ病 | 過食、過剰睡眠、体重増加傾向、特に重労働をしたわけでもないのに疲れる鉛様疲労感、拒絶過敏性(他人の言動に極端に反応)、気分反応性(好きな事にはテンション向上、嫌なことはテンション下降) |
新型うつ(新型鬱)の特徴を全体的に見渡すと、 自分への愛や賞賛が拡大しすぎて等身大の自分が見えなくなってしまう「自己愛性パーソナリティ障害」の症状が目立っています。
自分自身の能力を過剰評価してしまう結果、職場などで自分の期待している評価を得られないとストレスとなり、 うつ状態になって出社できなくなったりするものの休職中に海外旅行をするなど、 「現状の社会的規範」からすると大きく自分本位に逸脱しているように見えるタイプの"新型うつ"に抗うつ剤は効きにくく、 治療はカウンセリングや認知行動療法が中心となり、まずは、社会の中での自分の役割やポジションを理屈で解ってもらい、 本当の自分の姿と向き合うことで、周囲と摩擦を起こさず現実社会に溶け込めるよう矯正します。
自己愛性パーソナリティ障害の傾向をもつ人たちは、知的水準の高い場合が多いため、 カウンセリングや認知行動療法の趣旨さえ納得していただければ、治療もスムーズに進んで症状の改善に向かうことが可能ではないでしょうか。
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